「父さんも、母さんには自分の出身を隠していたらしいよ。犯罪者だってバレたら困るから、当然だと思うけど」

「ま、真尋くん……」

待って。
待って、私にとっては、そのことよりも。

「母さんは、何も悪くない。たまたま父さんに出会って、その人と恋をしただけ。でも、それは誰も許してくれない」

「真尋くん、待って……」

「俺がいた日本では、風桜国やエルディアスの人間と関われば、それだけで罪になる。母さんが、どれだけ『知らなかった』って言っても、無駄なんだ」

真尋くんはきっと、私の声が聞こえている。
だけど、わざと聞こえないふりをしている。

止まらないから。

真尋くんの話す“真実”は、私を傷つけるって、きっと初めから分かっていたから。