「こまりには、前に少し話したことがあったと思う。俺の世界の日本は、こっちの日本よりも狭くなってるって」

「うん……。確か、南日本側が風桜国で、北日本側が……えーと、エルディアス? だったっけ」

「そう。昔の戦争で負けた後に、そうなった。それから、元々同じだったはずの国は、今では断交状態で」

「断交……」

って、確か、国同士の関わりを()つことを言うんだっけ。

「国境には常に兵士がいて監視してるし、元々同じ国だったのにそっち側ではどんな暮らしをしてるのか、どんな人がいるのかも俺たちは知らない」

「……」

日本の、北と南に行けなくなる。
今の私には、その状況は想像もつかない。
東北に住んでいるいとこにも、会えなくなって。テレビやネットのニュースを見ても、今みたいに気軽に情報が入ってこないなんて。


真尋くんのいた日本は、そんな世界。