ふたりでベッドから起き上がって、お互いパジャマのままでリビングへ。

隣同士にソファーに座って、真尋くんは私の手を握った。

真尋くんがこんなに真剣な顔をするなんて、タイムマシンを直している時だけだったと思う。
今はそこに、少しの戸惑いが見えている。

「……俺は、元の世界で、過去に行こうとしてたんだ」

「うん……」

声が、かすれている。あの真尋くんが、緊張してるなんて。

私にまで、緊張がうつる。
本当に、この先の話を聞いてもいいのかな。

真尋くんが、ずっと隠してきたことなのに。
きっと、本当は隠し通すはずだった話を。

「過去の、母さんに会いに」

真尋くんの口から家族の名前が出て、それだけのことに、胸がギュッとなる。

真尋くんが親について話してくれたのは、たった一度だけ。
晴れの雨を、『狐の嫁入り』だと教えてくれた、お母さん。

それ以外はずっと、真尋くんが意識的に話さないようにしていたから。