なのに。
やきもちをやいて、好きだからキスをして、ドキドキして眠れなくなって……なんて。

本当に、普通の男の子みたい。

「……こまり」

抱きしめる力がゆるくなって、私はようやくまともな呼吸を再開できた。

「俺……が、本当に行きたかった世界の話、聞いてくれる?」

「え、それって……」

真尋くんが今ここにいるのは、“手違い”によるもので。
本当は、自分の元の世界の過去に行きたかったと、言っていた。

それも、今までの真尋くんなら、あまり話したくはなさそうだったのに。

「……嫌じゃないの? 言いたくないことなら、私、聞かないよ。無理に話さなくても」

「いや、こまりに聞いてほしい」

無意識だろうか。
また、腕の力がキュッと強くなる。
それは、少し震えた手で。