……全然、眠れない。

あの後もずっと、頭がふわふわしていて。

ふたりで夕飯を食べて、お風呂にもちゃんと入って、髪の毛だっていつも通りに乾かした……はず。
記憶にないけど。

自分の部屋でベッドに寝転んで、一応目を閉じて。
だけど、まぶたの裏には常に真尋くんの顔が浮かんでいて、眠れない。

夜中、0時ちょっと過ぎに真尋くんが私の部屋に入ってきて、あくびをしながら当然のようにベッドの上の私を背中から抱きしめて、……今に至る。

時刻は、夜中の2時。

いつも、この時間に部屋に来ていたとは。

このとんでもない衝撃に、私、今までよく起きないでいられたな。

心臓の音が、すごいことになっている。

キス……しちゃった。

真尋くんと、キス。
何回も。

真尋くんの世界でも、あれは好きだからする行為なのかな。
少なくとも、あいさつではないらしいけど。

……じゃあ、あの時のマスク越しのも、あいさつじゃなかったんだ。