力の入らない脚が、腰からズルッと抜けてしまった。

「っ!」

「あ、こまり、危ないよ」

とっさに真尋くんが支えてくれたけど、そのついでに一度抱きしめられて、すでにいっぱいいっぱいな私は、それを注意することも出来ない。

部屋の施錠(せじょう)が、解かれる音が聞こえる。

あ、私、今から真尋くんとふたりきりの部屋に入っちゃうんだ。

扉が開いて、支えてもらいながら、ヨロヨロの足取りで中に入る。

どうしよう……。

「……いまの、なに? これも、あいさつ?」

答えを、聞いてはいけない。気づいた頃には、もう遅くて。

「違うよ」

……それなら?

無理。もう、何も考えられない。

私は、ふたりを閉じ込めた扉を背に、唇に触れる熱だけを感じていた。

「っ、ん……、んぅ……っ、ま、待って、真尋く……」

「……やだ」

それは、いつもの真尋くんからは考えられないくらい、乱暴で。