家に着く頃には、外はすっかり真っ暗になっていた。

予定よりも、二時間以上も遅くなってしまった。

明日から学校なのにな。
でも、楽しかった。すごく……。

マンションのエレベーターに乗って、ふたりで五階へ。

部屋に先に着いたのは、脚の長い真尋くんの方。

「こまり」

「ん?」

503号室の扉の前で、真尋くんは私の顔を正面から見つめる。

「おかえり、こまり」

どっちかって言ったら、真尋くんも「ただいま」側だと思う。

だけど、安心する。

私の帰る場所はいつの間にか、当たり前に君が待っているこの部屋になっていた。

いつまで続くのかな。
ずっと、終わらないで欲しいのに。

そんな気持ちのせいで、少し……魔が差した。

「……ただいま、真尋くん」

真尋くんの腕にそっと触れて、背伸びをする。
いつもの君の、“ただいまのあいさつ”。

……の、はずが。