その後に食べたお弁当は、いつも通りにおいしかった。
品数も多くて、手間をかけて作ってくれたことも当然分かってはいたのに、素直に楽しむことができなかった。

もったいなかったな……。
せっかくの、真尋くんとの休日だったのに。

こんな気持ちで過ごしちゃうなんて、今日を楽しみにしてくれた真尋くんにも失礼だった。

少し落ち込みながらの夕方、家に帰るために駅までふたりで歩く。

「こまり」

「え?」

私の暗い雰囲気のせいか、今まで黙っていた真尋くんが口を開く。

「手、繋いでもいい?」

「て、手……っ!?」

その発言にはもちろん、真尋くんが許可を取ろうとしたことにも驚く。
いつも、私の意見なんか聞かないのに。

「こら、何聞き返してんの。恥ずかしくなっちゃうでしょ」

「だ、だって……」

あと、真尋くんも、恥ずかしいとかいう感情を持ち合わさせていたんだ。