ひとつ、ふたつ、ひみつ。


雨はすぐに降り止んで、湿気っぽいジメジメとした暑さが、辺りを包み込んだ。

私たちはすっかり濡れてしまったベンチに戻って、真尋くんが私が座る場所を真っ先にハンカチで拭いてくれた。

「ありがとう……」

「うん。具合はどう? ほら、座って。立ってるの、辛いでしょ」

「そんな……、大丈夫だよ」

「膝、使う? 肩がいい?」

またその二択なんだ。

「本当に大丈夫だから。なんでそんなに心配してくれるの?」

「なんでって、こまりのことが大事だからでしょ」

「……そう」

私はそれ以上の反応が出来なくて、ただうつむいた。

嬉しい。……でも。
それって、いつまで?

真尋くんの言う全てのことは、期限付き。

私はいつまで、真尋くんの“大事”でいられるのかな。