ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「綺麗だね。雨が当たったところが全部、キラキラしてる」

真尋くんが雨宿りをしながら呟く言葉に、自然と口角が上がってしまう。

私もついさっき、同じことを思ったから。

「いいな。この世界は、綺麗なものがいっぱいあるね」

私にとっては当たり前の日常だけど、違う世界の真尋くんの目には違うように映るのかな。
もっと、同じ気持ちになりたい。

「ずっと、ここにいられたらいいのにな」

真尋くんは何気なく言っただけで、本気じゃなかったかもしれない。

でも、私は。

「……それなら、本当にずっといればいいのに。帰らないで、ずっとここに」

考えるよりも先に、唇が動いてしまった。

ハッと気づいた時には、もう遅くて。

「あっ、違……、今のは」

「うん、そうしようかな。こまりが言うなら」

私の否定を遮って、真尋くんは視線を重ねてニコッと笑う。

そんなつもり、ないくせに。

今でも帰る方法を探していること、知ってるんだから。

残酷で、甘い嘘を平気でつけるんだね。

なのに、たまらなく幸せを感じている私は、本当にどうしようもない。