ひとつ、ふたつ、ひみつ。

サラサラと、青々しい葉っぱが重なりながら揺れる。
音まで、涼しい。

以前真尋くんと一緒に見た花はすでに落ちてしまったのか、見当たらない。
その代わりに、新しい花が咲いている。

決まった時期にしか咲かない花があることは、知識として知ってはいる。
だけど、どれも名前が分からない。

私がもう少し、前々からそういうことに興味を持てていたら、この場で真尋くんに解説することも出来たのに。

残念……。
私は、何も知らないから。

スマホですぐ調べることも出来るけど、それはなんだか違う気がするし。

子供の賑やかな声と、その後を追いかけるような大人の声。
カフェのテラス席の、談笑。
キッチンカーの、明るい音楽。

全ての時間が、穏やかに流れている。

私たちも、その中の一員。