ひとつ、ふたつ、ひみつ。


ずっと心臓の動きがおかしくて、死ぬかと思った。いつものことだけど。

目的地の最寄駅に着いて、息つぎをするように電車をおりて、なんとか運動公園まで来た私は、大きな木のそばにある日陰のベンチでぐったり。

「どうしたの、こまり。電車に乗っただけなのに、もう疲れた?」

電車に乗った“だけ”じゃ、全然なかった気がするのはまさか私だけなのか。
誰のせいだと……。

「ここは、家の周りより涼しいね」

と、隣に座る真尋くんは、のんびりと風の流れを感じている様子。

家からそんなに離れていないところだから、太陽の照り具合にさほど変わりはないはずなんだけど、日陰で風があるだけですごく快適。

「まだ暑い? 大丈夫?」

「ひえっ!?」

真尋くんが、また私の頬に保冷剤をピタッと当てる。
周りとの温度差に驚いて、変な声が出た。

「ううん、もう平気。ありがとう……」

日陰で、顔が薄暗くなってもかっこいいな、もう……。