ひとつ、ふたつ、ひみつ。

次の駅で、電車が停車する。

降りる人は少ないけど、乗り込んでくる人が多くて、車内が一気に混みあってきた。

私たちが立っている壁際にも、人が増える。

私の目の前には、男性の背中が。
これ以上後ろに詰めることは出来ないから、身を縮める以外で、その状況を私はどうにも出来ない。

すると、真尋くんが私と男性の間にスルッと入り込んできて。

「……え?」

真尋くんが、私の体を囲むように両手を壁につく。

「あの、……え? どうしたの? 真尋くん」

「ん? んー、別に」

私の前に男性がいたから、気にしてくれたのかな。

その心づかいはとても嬉しい。……けど。

これは、俗に言う壁ドンとかいうものでは。