駅までそんなに時間がかからないしと思って油断していたけど、日傘くらいは持ってくるべきだったかも。

手でパタパタと自分を扇ぐ私に反して、真尋くんは何でもない顔をして隣を歩いている。
お弁当も持ってくれているから、重たいはずなのに。

「こまり、暑いの? えい」

「ひゃあ!? つめたっ、な、なに!?」

ピタッと、首すじに冷たいものを当てられて、思わず悲鳴を上げる。

「びっくりした?」

「びっくりしたよ! なにこれ……、保冷剤?」

「弁当箱に乗せるために、いっぱい持ってきたから。こまりはそれで冷やしてて」

「もう……」

「あはは」

「真尋くん、なんか楽しそうだね」

「うん、楽しいよ」

「運動公園、そんなに気に入ってたんだ?」

「あと、隣のこまりが可愛いからね」

「なん……っ? そ、そういうのいいから……」