普通なら、こんな状況で味なんて全然分からない……とか、なりそうなものだけど。

無理。
今日もおいしい。
味が分からなくなるとか、もったいなくて考えられない。

メニューは偶然にも、お昼にも食べたばかりのオムライス。
二食連続で同じなのに、飽きるどころか、断然こっちの方がおいしい。

「……こまり、今日の夕食、おいしくない?」

「え、まさか──」

しゅんとした落ちた声色に、つい顔を上げる。

パチッと視線がぶつかって、私は反射的にまた目をテーブルに戻した。

危なかった……。

「真尋くんの作ったものは、いつでもなんでもおいしいよ……」

なんて、私は一体どこに向かって喋ってるんだか。

「じゃあ、幼なじみくんとなんかあった?」

なんで、あっくん?

「何もないよ。買い物に付き合っただけだし」