「こまり、なんでこっち向いてくれないの?」

「……別に、なんでもないから」

「なんでもなくないでしょ」

「気にしないで」

「それは無理。気になる」

「……」

あっくんとの買い物から帰って、その日の夕方。
それからずっと、私は真尋くんの顔が見れないでいた。

今は、真尋くんが作ってくれた夕食を、ふたりで向かい合って食べているんだけど……。
私だけは、不自然なくらいにうつむいて、黙々(もくもく)とスプーンを口に運んでいる。

あっくんが誘ってくれたように、夜も外食にするべきだったかな。

でも、それだと、真尋くんを一日中ひとりにしてしまうことになるし。

そして、相変わらず真尋くんが作ったご飯はおいしいし。

何よりも私が、そうしたくなかった。
顔を合わせても、気まずいだけだって分かってたくせに。