「あっくんの服を選んでたんじゃないもん」

「じゃあ、なんだよ」

「別に。こういう服が似合う人が好きだなって、思ってただけ」

「は?」

……あれ?

あっくんの疑問符(ぎもんふ)と同時に、私も頭にハテナをポンと浮かべる。

自分の発言を、すぐに思い返してみる。

それって、私、……あれ?

誰を、好きだって?

そう考えて、すぐに顔を思い浮かべるのは……。

「……お前、誰のこと言ってんだ?」

目の前の怖い顔をしたあっくんで、ハッと現実に戻る。

「た、例え! ただの、例えだよ! 誰とかじゃないから!」

ブンブンと両手を振って否定をして、背中を向けた。

え? あれ?
嘘、私……。
……え?

必死に止めていたストッパーが、あっさりと外れてしまった気がした。

気づきたくなかった気持ちが顔を出して、心臓が揺れて。
……すぐに、嫌な音を立て始めた。

だって、真尋くんは好きになっちゃいけないから。
今も、この先も。……絶対に。