「遅い!」

「ご、ごめん。でも遅刻じゃないよ」

「ギリギリなんだよ。10時ぴったりじゃねーか。60点」

それ、休日もやるんだ。低いし。

私は、何が悲しくて朝っぱらから幼なじみに家の前で(しか)られなくてはならないのか。

本当だったら、もっと早くに支度が終わっていたはずだった。

だけど、スカートをはいてリビングに行けば、真尋くんに「可愛い格好しちゃだめ」と、部屋に押し込むように戻されて。

だったらと、ショートパンツに変えてみても、また「それも似合ってるからだめ」と、また部屋に閉じ込められて。

こんなやり取りをまさかの五回も繰り返されて、結局時間ギリギリになって、私は飛び出すように玄関から出た。

この、シンプルなシャツにワイドパンツも、真尋くんはあまり納得していなかったようだけど。