「私たちはただの同居人なんだから、おかしいよ」

真尋くんの世界では、違うのかもしれないけど。

ここにいるのが私じゃなかったとしても、平気でするかもしれない。

私は、無意識にむうっと頬をふくらませた。

「こまり、怒ってる?」

「……怒ってない」

「そんなに、幼なじみくんと出かけたいの?」

しゅんとした声色が直接耳に届いて、心がギュッと縮まる。

私としては、論点はそこではないのだけど。

「……」

私って、真尋くんにとってはどんな存在になってるんだろう。

いつか必ずいなくなる人に、そんなことを思っても仕方ないのに。

「真尋くん」

「なに?」

「明日、晴れたら……」

「うん?」

「また……運動公園に行く? 一緒に」

私の提案に、ただでさえ苦しいのに、力いっぱい抱きしめられて、今度こそ息が止まるかと思った。

「うん。行く」