ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「そんなことないよ。全然元気だもん。お昼はね、えーと……最近仲良くなった他のクラスの子がいて、その子と食べてるんだ」

「嘘つくな。じゃあ、誰だよそれ。何組、名前は」

聞き方が、完全に尋問(じんもん)なんですが。

「そ、それは、秘密。あの、その……、あ、恋愛相談とかされてるから。男子にはバレたくないと思うよ。そういうの聞いちゃうのよくないよ、あっくん」

「……」

う、疑ってるー!

ジト目はやめて。目付きが怖いよ。職質されてる気分だよ。

「……ハブられては、いないんだな?」

「うん。それは、本当に」

「分かった。そうなら、いい。早く帰るぞ」

「あ、う、うん……」

(きびす)を返す後ろ姿を追いかけるために、私は慌ててかばんのファスナーを閉めて立ち上がる。

聞き方は怖かったけど、これは……心配してくれたんだよね?

「あっくんは、たまに優しいね」

「たまに、は余計だ」