ひとつ、ふたつ、ひみつ。


放課後になって、教室内の皆が一斉(いっせい)に席を立つ。

お昼のあと、チャイムが鳴るまで屋上にいて、真尋くんはまたワープで帰っていった。

ちゃんと家に着いてるかな。
……帰ったら、きっとまたタイムマシーンの修理を再開したんだろうな。

彼の居場所は、本当はここじゃないから。

「こまり!」

ノロノロと帰り支度をしていると、すっかり準備万端(じゅんびばんたん)のあっくんが、名前を呼びながら私の席へやってきた。

「あっくん、今日は一緒に帰る?」

「ああ」

「分かった。ごめん、ちょっと待ってね」

かばんの中に、ペンポーチ、ノート、と、順番に入れていく。

「こまり、お前、大丈夫か?」

「大丈夫? だよ? ……え、なにが?」

「昼、昨日もだけど教室にいなかっただろ。ハブられたりしてないだろうな」

「えっ、ないない、そんな。大丈夫だよ」

「でも、そのあとは元気なかっただろ」

わ、めっちゃ見られてたっぽい。
私、そんなに分かりやすいかな。恥ずかしいな。