ひとつ、ふたつ、ひみつ。

全部話してほしいなんて、思わない。

人にはそれぞれ事情があって。
私だって、血の繋がっている家族にも、昔からずっと一緒だった幼なじみにも、言えないことがある。

真尋くんに(いた)っては、数日前に会ったばかりの男の子で。

今は一緒に暮らしていても、決して家族なわけじゃない。

いつか、いなくなってしまう人だから。

多分、知らない方がいい。
そのことを、さみしく思ったとしても。

「……今日も、タイムマシーンの修理をしてたの?」

「ん? うん。まだ直らないけどね」

「そっか」

安堵(あんど)しちゃ、だめ。

手首にある真っ赤なままの画面を見るたびに、まだ一緒にいられるなんて、考えちゃだめ。

「早く直るといいね」

私は、どんな顔でこんなことを言ってるんだろう。

「……こまり?」

「っ!」

スッと伸びてきた手に、ビクッと肩が上下する。
その指先が触れるのは、左の目尻。

「え、な、なに……?」

「……ううん、勘違いだった。泣いてるのかと思って」