ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「あ、ねぇねぇ、お弁当作ってくれるなら、よかったらお昼だけでもいいから、真尋くんも学校に来ない?」

「また行ってもいいの?」

「うん。学校の屋上はもう覚えたから、ワープで来れるでしょ? せっかくだから、おいしいご飯は一緒に食べようよ」

三食が真尋くんの料理になるなんて、ぜいたくだな。

今日の青空の下でのお昼も、楽しかったし。

「よーし、もう一回買い物に行こうっ。ふたり分の、おっきいお弁当箱買わないと」

真尋くんの腕をつかんで、リビングに座っていたところを半強制的に立たせる。

キョトンと見上げていた顔が、笑顔に変わる。

「? 真尋くん、なに? さっきから、私のこと見てずっと笑ってない?」

制服、着替えてないけど、このまま出かけちゃっていいよね。

「ん? さっきまで焦って困って真っ赤になって、しかも怒ってたはずなのに、今はもう笑ってて、すぐに表情変わるからおもしろくて」

「あ……」

そういえばそうだった。
真尋くんを正座させたくせに、目的達成前に私が手を取って立たせてるし。
忘れるのが早い。バカなの?

「こまりみたいな女の子、今まで会ったことないから。一緒にいるだけで、飽きないね。最初から、ずっと」

「……ん? 褒めてないよね。ていうか全部真尋くんのせいだからね?」

「うん」

「うん、じゃないんだってば」