ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「真尋くん、あの……」

「幼なじみくん、かっこいいよね」

「おさ、……え?」

出鼻をくじかれた。
あっくんの話? なんで?
しかも、なんとなく不機嫌だし。

「あっくん? うん、そうみたいだね。よく女の子に呼び出されてるから」

そういうあなたも、かなりのイケメンなのですが。
鏡見たことないのかな。

「さっきもふたりで楽しそうだったね、こまり」

「聞こえてたの?」

「うん。ここの玄関のドア、そんなに厚くないし」

楽しそう?
私、ヘッドロックされてたんだけど。

「えっと? プロレスが好きなの? 真尋くん」

まざりたかったのかな。

「こまり、玄関前でプロレスしてたの?」

「技はかけられてたよ」

「どんな?」

え、本当に興味あるんだ。

「どんなって、こう…… 」

私は、先ほどのあっくんを再現するために、真尋くんの背中に回り込む。
首元に手を伸ばして……。

「っ……、無理。できない……」

「なんで?」

「だ、抱きつくみたいになるから……。真尋くん相手は、恥ずかしくて無理……」