あっくんの拘束(こうそく)から解放されて、隣の504号室に入ったのを確認し、私はエレベーターへ向かって走った。

三階の住人が乗った後なのだろうか。エレベーターは現在、三階で止まっている。

下りのボタンを押して、我慢できずにその場で足踏みを繰り返す。

真尋くんがエレベーターで行くとすると……、一階くらい?
マンションのロビーにいたりするかな。

こういう時、相手がスマホを持っていないのは不便。
異世界の、似たようなのは所持しているけど。
スマホより便利な、ワープ機能付きの通信機。

……ワープ。

あ。

──チンッ。

エレベーターが、五階に到着した音が鳴る。

だけど、私はまたすぐに503号室に戻ることにした。