「だからお前は、俺がいないとだめなんだよ」

呆れたようにため息をついたあっくんが、目を細めて笑う。

「心配だから、放課後も毎日ふたりで帰るか」

「えー」

提案に速攻でクレームを入れると、笑顔があっという間に、いつものしかめっ面に変わる。

「えーってなんだ」

「だって、あっくんが呼び出された日も、それを待ってなきゃいけないんでしょ」

「そうだよ」

「それってさ、あっくんが告白されて彼女できたら、私、待ってるだけ損にならない?」

「そんな日はこない」

「うぷっ」

あっくんは、後ろから私の首にガシッと腕を回す。

へ、ヘッドロック……!
女子に!?

「ちょ、く、苦し……っ!」

「お前がふざけたこと言うからだろ」

「い、言ってないけど。えっ、あっくん、彼女が出来た直後にも、私と一緒に帰るつもりなの? 一瞬で嫌われるよ!?」

「お前は、本当にムカつくな」

「い、痛い、痛い、痛いってば!」

絞まる首元に抱きつく腕を、バシバシと叩く。