ひとつ、ふたつ、ひみつ。

びっくりして、体温が上がって、手の中のチョコがとけてしまった。

真尋くんは渋々と、半分このパンを手で受け取る。
そしてすぐに私の手を取って、指先にキスをした。

「~~っ!?」

言葉にならない変な叫びが、体の内側から飛び出す。

「なっ、なな、なにするの!?」

「チョコ、とけてたから」

「りっ、理由になってないよ……!?」

「人前じゃないからいいかと思って」

はい、出ました。その、独自ルール。
何度も言うけど、真尋くんは人前だとしても、やる。
それは、身をもって知っている。

「もうー……、真尋くんの世界では、これが当たり前なの?」

「んーん。俺は、こまりにしかしないよ」

「私にも、しちゃだめです……」

動揺していて、中々すごいことを言っていたはずの真尋くんの言葉は、聞き流してしまっていた。

大好きなはずのチョコの味は、今日は何も分からなかった。