冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

「冬美さん、どう、これ?」

と、まーくんは意味不明な事をドヤ顔で言ったけど、それどころじゃないわ。

「私、力持ちじゃないからね!」
「え?」

「誰かに頼んでよ?」
「何を頼むんでしょうか?」

「だーからー、この中に積んである水槽を……」

と言いながら、黒い車の中を覗き込んだら、空っぽだった。

「あら? ブラックピラニア様は、いずこへ……?」

「…………ぷっ」
「何よ?」

「水槽とか、ブラックピラニアとか、冬美さんは、もしかして……あははははは」

まーくんは笑い出し、しばらく止む事はなかった。

ようやくまーくんの笑いが止んだので、

「何がそんなに可笑しいの?」って、私は聞いた。

「だって、冬美さんがとんでもない勘違いを……ぷっ」

「笑うな!」
「はい」
「説明して!」

「うん。俺が買ったのは、この車さ」
「へ? 嘘?」

この大きくて、ピッカピカの、黒い車を、まーくんが?

「すごいだろ? 新車だぜ」

再びまーくんはドヤ顔をした。そりゃあ、ドヤ顔にもなるわね、さすがに。