「冬美は北野君に……」
「お父さん!」
社長が何かを言い掛けたら、なぜか冬美さんがそれを遮った。
「何かな?」
「お父さんは、まーくんの事を知ってたの?」
「”まーくん”は初めて聞いたが、北野君の事は知ってるよ。最近会ったばかりだし、その名前はおまえから散々聞かされたからね、嫌でも覚えたよ」
へえー。冬美さんが俺の名前をね……
あ、そうか。社長が俺の事を見込みがあると言ったのは、それが根拠だったんだな。
「二人は会ってたの?」
「そうだ。この男は私の所に来て、『愛人をやめろ』と言ったんだ。中々骨のある若者だと思ったよ」
「冬美さんと社長の瞳の色が一緒だって、その時に気付いたんです」
「話を戻すが、冬美は北野君にあの事は話したのか?」
「あの事って?」
「それはだな、つまりその……前の会社を辞めた経緯だ」
ああ、田中って男の話だな。
「話しました」
「そうか。それなら言ってもいいだろう。昨日、田中が私の所に来たんだ」
「えっ? 何をしに……」
冬美さんは、あからさまに動揺した。もちろん俺も、事の成り行きが気になっていた。
「お父さん!」
社長が何かを言い掛けたら、なぜか冬美さんがそれを遮った。
「何かな?」
「お父さんは、まーくんの事を知ってたの?」
「”まーくん”は初めて聞いたが、北野君の事は知ってるよ。最近会ったばかりだし、その名前はおまえから散々聞かされたからね、嫌でも覚えたよ」
へえー。冬美さんが俺の名前をね……
あ、そうか。社長が俺の事を見込みがあると言ったのは、それが根拠だったんだな。
「二人は会ってたの?」
「そうだ。この男は私の所に来て、『愛人をやめろ』と言ったんだ。中々骨のある若者だと思ったよ」
「冬美さんと社長の瞳の色が一緒だって、その時に気付いたんです」
「話を戻すが、冬美は北野君にあの事は話したのか?」
「あの事って?」
「それはだな、つまりその……前の会社を辞めた経緯だ」
ああ、田中って男の話だな。
「話しました」
「そうか。それなら言ってもいいだろう。昨日、田中が私の所に来たんだ」
「えっ? 何をしに……」
冬美さんは、あからさまに動揺した。もちろん俺も、事の成り行きが気になっていた。



