冬美さんは、目を大きく見開き、次に頬を赤らめ、次に怒った顔をした。冬美さんって、表情が豊かなんだなあ、なんて考えてる場合じゃないか。
「嘘吐きは嫌いって、言ったわよね?」
「嘘じゃないです」
「嘘だわ。だって、昨日までの私は”ヒステリックなオールドミス”だし、あなたより3つも年上なのよ? 好きになるわけない!」
そう来たか。
俺は髪をひっつめ、黒縁眼鏡を掛けた、冬美さん曰く”ヒステリックなオールドミス”の冬美さんも好きなのだが、そうなるまでの経緯を説明しようとすると、例の”二次元の冬美ちゃん”に触れないわけには行かない。
あれが無ければ、未だに冬美さんをそういう目で見なかったかもしれないからだ。しかし、それを言うのは姉貴から口止めされてるわけで……
ああ、面倒くさい!
「好きなものは好きなんです。好きに理由なんて、必要なんですか!?」
俺は怒鳴るように言い、冬美さんの、灰色がかった魅惑的な瞳をジッと見つめた。
すると、その冬美さんの目が、涙で潤みだした。嬉し涙だろうか。だといいのだが……
「冬美さんは、俺の事をどう思ってますか?」
俺がそれを言うと、冬美さんの目から涙が溢れ出し、雫となって頬を伝り落ちた。俺はそれが、綺麗だなと思った。
『私も、まーくんの事、好きよ』
みたいな返事を期待したのだが……
冬美さんは俯いて、頬の涙を手の甲で拭うと、低い声で呟くように言った。
「私には、答える権利がないの」と。
「嘘吐きは嫌いって、言ったわよね?」
「嘘じゃないです」
「嘘だわ。だって、昨日までの私は”ヒステリックなオールドミス”だし、あなたより3つも年上なのよ? 好きになるわけない!」
そう来たか。
俺は髪をひっつめ、黒縁眼鏡を掛けた、冬美さん曰く”ヒステリックなオールドミス”の冬美さんも好きなのだが、そうなるまでの経緯を説明しようとすると、例の”二次元の冬美ちゃん”に触れないわけには行かない。
あれが無ければ、未だに冬美さんをそういう目で見なかったかもしれないからだ。しかし、それを言うのは姉貴から口止めされてるわけで……
ああ、面倒くさい!
「好きなものは好きなんです。好きに理由なんて、必要なんですか!?」
俺は怒鳴るように言い、冬美さんの、灰色がかった魅惑的な瞳をジッと見つめた。
すると、その冬美さんの目が、涙で潤みだした。嬉し涙だろうか。だといいのだが……
「冬美さんは、俺の事をどう思ってますか?」
俺がそれを言うと、冬美さんの目から涙が溢れ出し、雫となって頬を伝り落ちた。俺はそれが、綺麗だなと思った。
『私も、まーくんの事、好きよ』
みたいな返事を期待したのだが……
冬美さんは俯いて、頬の涙を手の甲で拭うと、低い声で呟くように言った。
「私には、答える権利がないの」と。



