冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

「あんな事って?」
「昨日と一昨日、私に付いて来たでしょ? あれって何だったの?」

「ああ、あれですか。それはですね……」

”ストーカー大作戦”の事を冬美さんから聞かれたわけだが、何て答えればいいんだろう。

姉貴から課された使命だと言うのは、俺の意志じゃないと誤解されるし、姉貴に迷惑が掛かるかもしれない。

かと言って、適当な答えでは嘘が嫌いな冬美さんから怒られるし、そもそも適当な答えなんて何も浮かばない。

余計な事は言わず、正直に、簡単明瞭に言おう。

「冬美さんに、嫌われたままなのは、嫌だからです」

よしと。遠まわしに告白したも同然だが、まあいいだろう。俺はたぶん、ドヤ顔になってると思う。ところが、

「どうして?」

と冬美さんは言った。顔色ひとつ変えずに。冬美さんって、意外に鈍感なのかも。あるいは……

「わざと言ってませんか?」

俺をからかってるのかな。

「ううん、そんな事ない」

という事は、はっきり言わないとダメみたいだな。なら、言ってやろうじゃないか。

「俺は冬美さんの事が、好きだからです」