冷淡女上司を攻略せよ！～ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記～

間もなくして主任も自分のおかゆをテーブルに置き、俺の向かいに座った。

「いただきまーす」

「まだ熱いから、ふーふーしてね？」
「子どもみたいに言わないでくださいよ……あちっ」

「ほら見なさい……あちっ」
「あはは、主任もふーふーしないとだめでちゅよ」
「もう……」

気付けば、無かったはずの食欲が沸いてきて、おかゆが美味しく感じられた。

「そっちも食べてみて？」

主任が言った”そっち”は、小鉢に入った茶色い料理なのだが、それを箸で摘まんで口に入れたら、意外と言ったら失礼だが、美味かった。

「旨いですね、これ。何て言う料理なんですか？」
「蕗の山椒煮よ。食べた事ないの？」

「無いです。ピリッと辛いのは、山椒なんですね。主任が作ったんですか？」

「ううん、貰ったの」
「誰からですか？」

「えーっと、社長からよ。正確には、社長の奥さんから」
「ああ、そうなんですね」

主任は、俺を探るような目で見た。俺が驚いたり、あるいは嫉妬するとか思ったのかな。

でも俺は、社長の事は少しも気にならなかった。なぜなら、ある事に確信を持っているからだ。