冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

俺は直ぐに着替えをした。ただし、靴下は帰る時に履くつもりだ。
脱いだパンツはどうして良いかわからず、取り敢えずスウェットのポケットに突っ込んだ。

洗面所で顔を洗い、マウスウォッシュを拝借して口をすすいだ。無精ひげは不快だが、まあ仕方ない。
そしてキッチンへ行くと、たぶんおかゆに取り組んでいる主任がいた。ジーンズは、元のピンクのスウェットに履き替えている。

「これ、ピッタリでした」

主任の背後から俺が言うと、主任はくるっと俺を振り向いた。

「あら、ほんとにそうね。良かった」
「結構いいですよね、これ」

俺はそう言って、手を広げて見せた。

「うん、素敵。北野君って黒が似合うと思う」
「そ、そうですかね」

主任が呆気なく俺を褒めてくれるので、照れ臭かった。もちろん、すごく嬉しかったけども。

「あ、あれはどうしたの?」

おそらく主任も自分の言葉に動揺したようで、噛みながらそう言った。ところで、”あれ”って何だ?

「”あれ”って?」
「脱いだやつ」