冷淡女上司を攻略せよ！～ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記～

「あ、お金払わなくちゃですね。俺の財布ってどこにありますか？」

「リビングだけど、私にプレゼントさせて？」
「そんなの、悪いですよ。これ、結構しましたよね？」

「いいの。お願い……」

主任の、灰色がかった不思議な色の瞳で見つめられ、『お願い』なんて言われたら、断れないどころか、何でも叶えてあげたい、そんな気持ちになった。

「わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」

「ありがとう。それとね、レトルトのおかゆを買って来たの。食べられそう？」

「あ、はい。食べられそうです」

実際のところ、食欲は無かったが、せっかく主任が用意してくれるのだから、無理してでも食べようと思った。

「そう？ 梅とシャケと玉子があるんだけど、どれを食べたい？」

「ん……シャケでお願いします」
「わかった。じゃあ私は、玉子を食べちゃおうっかな。お腹ぺこぺこなの」

そう言って微笑む主任があまりに可愛くて、ドキドキして、主任に抱き着きたい衝動を抑えるのが大変だった。

「じゃあ、すぐだから、待っててね」

そう言って、主任が部屋を出てくれて助かった。もう少しで、本当に主任に抱き着きそうだったから。