冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

主任はそれを、看護師さんみたいな仕種で見た。

「だいぶ下がったわ」

「何度ですか?」
「37度6分。夕べは39度2分もあったのよ?」

「ほんとですか? すげえなあ、記録かも」
それは定かではないが、高熱を出したのはずいぶん久しぶりだ。

「寒くないの?」

主任はそう言って俺から視線を反らし、少し顔を赤らめた。
俺の裸の上半身がむき出しになっており、それで主任は言ったのだと思う。

実際に寒さを感じたので、
「寒いです」と言い、俺は布団に包まった。

「明るくなって来たから、コンビニに行ってくる」

主任は、立ち上がりながらそう言った。壁の時計を見たら、6時頃だった。

「何か欲しい物はある?」

と聞かれ、少し考えたが何も無かった。

「ありません。ところで主任は、どこで寝たんですか? と言うか、眠れましたか?」

俺と一緒にベッドで……は、ないな。

「寝たわよ。リビングのソファで」

だよな。しかし主任には申し訳なかったので、

「そうですか。ご迷惑をお掛けして、すみません」

と言って俺は頭を下げた。

「どういたしまして。迷惑と言えば……」

主任はそこで言葉を切り、俺は咄嗟に、”ストーカー大作戦”を責められると思ったが、責められなかった。たぶん、それは後にしたのだと思う

「じゃあ行って来るけど、それ、飲んでね。ぬるくて美味しくないけど」

主任の視線を辿ると、小さなテーブルにスポーツ飲料のペットボトルと、俺のスマホが置いてあった。