冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

悪夢はもう勘弁だが、こんな夢なら大歓迎だ。

スマホの画像の主任。名付けて”二次元の冬美ちゃん”が、三次元になって俺の前に現れていた。

「やっぱり冬美ちゃんは、二次元でも三次元でも可愛いなあ……」

思わず俺がそう漏らすと、三次元の冬美ちゃんは頬を紅く染め、ますます可愛いなと俺は思った。

「訳の分からないこと言って、まだ熱があるみたいね?」

その口ぶりと声は、正に主任のそれなわけで、

「やっぱり二次元の冬美ちゃんは、主任と同一人物だったんだな。やっと実感できたよ」

「あなた、大丈夫? 熱で脳がやられちゃった?」

そのリアルな物言いに、これは夢ではなく現実だと気付かされた。

「あなた様は……現実の主任ですか?」

「当たり前でしょ? はい、熱を測って」

二次元の冬美ちゃんのような、つまり髪をひっつめてなく、眼鏡を掛けていない主任は、そう言って俺に体温計を差し出した。