あれ? ここはどこだろう……
目を覚ました俺は、ここが自分の部屋ではない事に気付き、戸惑いを覚えた。だが、ほどなくして思い出した。ここは、主任が住むマンションの寝室であり、俺が寝ているのは、主任のベッドの上、という事を。
そして、この状況に至る経緯について、おぼろげな記憶を辿ってみた。
俺は主任のマンションの前で気分が悪くなり、立っていられなくて主任に抱き着いた。そして、主任に支えてもらってマンションに入り、主任のベッドに倒れ込んだ。
全身が汗だくで不快なため、主任に手伝ってもらいながら服を脱いだ。そしてパンツ一丁になってタオルケットか何かに包まり、更に布団を主任に掛けてもらい、悪寒で震えながら体を丸め、意味不明な悪夢にうなされながら眠ったんだった。
主任には、すっかり迷惑を掛けてしまった。
俺の汗を拭いてくれたり、氷枕を頭の下に敷いてくれるなど、甲斐甲斐しく俺の看病をしてくれた事を、おぼろげに憶えている。
それに、俺は主任の寝床を奪ってしまったわけで、主任はどこで寝たんだろうか。あるいは、そもそも眠れたのだろうか。
「起きたのね」
その声に目を向けたら、俺はまだ夢の中にいるんだな、と思った。



