冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

「答える義務は無いと思うが?」

社長のこの返答は予期していなかった。どう返そうかな。

「否定されなければ、肯定したと受け取りますが、それでもよろしいのですか?」

これでどうだ?

「好きにしたまえ」

う……どう返せばいいのかわからん。クソッ

「…………」
「もっと準備してから、ここへ来るべきだったな?」

悔しいが、その通りだ。

「もしも、私と冬美がそういう関係なら、君はどうするのかね?」

あ、社長は今、”冬美”って言った。社長のやつ、ボロを出したな。

「関係を解消していただきます」
「それは無理だ」

その社長の一言に、俺は切れてしまった。

「今以上に冬美さんが不幸になるのを、俺は見過ごせないんです。だから、もう彼女を傷付けるのは止めてください!」

俺は興奮し、社長を怒鳴ってしまった。俺、クビかな。

「それは聞き捨てられないな。私がいつ冬美を傷付けたと言うのかね?」

もう、こうなったらヤケだ。クビで結構。

「盗人猛々しいとはこの事ですね。誰のせいで冬美さんは、あんな風になったと思ってるんですか? あんな、殻に閉じ籠って、人を寄せ付けないような人に」

「ほお、中々の分析だな」

我ながら、俺もそう思った。咄嗟に口を付いて出た割には、主任の事を的確に表現出来たと思う。