「主任、少し席を外します」
そう俺が告げても、主任はパソコンを見たまま無言だった。つまり完全無視。
もし俺が、社長と面会すると言ったら、主任はどんな顔をするだろうか?
それを見てみたい気もするが、悪趣味なのでやめておこう。
エレベーターに乗り、最上階の役員室専用フロアでエレベーターを降りた。すると警備員がすぐにやって来たが、俺が名乗ると通してくれ、受付へ行った。そこでも名乗ると、秘書課の女性が社長室へ俺を案内してくれた。
社長室に入ると、窓を背にし、大きな机の向こうに座る社長の姿があった。
「営業部の北野と申します。急にも拘わらず、お時間を頂戴してすみません」
「うむ、座りたまえ」
「ありがとうございます」
俺が柔らかいソファに座ると、社長も来て、俺の向かいにゆっくりと座った。その間、社長は鋭い目で探るように俺を見て、俺もまた、内心は怯みそうになりながらも、社長の顔を真直ぐに見た。
秘書課の女性がお茶を出してくれ、社長室を出た。社長も俺も、まだ一言も発していない。こういう場合、俺が口火を切るべきなのだろうか。たぶん、そうなんだろうな。
「不躾ですみません。中条冬美さんが社長の愛人という噂を耳にしたのですが、本当でしょうか?」
俺は内心、ドキドキしながら社長の返答を待った。
そう俺が告げても、主任はパソコンを見たまま無言だった。つまり完全無視。
もし俺が、社長と面会すると言ったら、主任はどんな顔をするだろうか?
それを見てみたい気もするが、悪趣味なのでやめておこう。
エレベーターに乗り、最上階の役員室専用フロアでエレベーターを降りた。すると警備員がすぐにやって来たが、俺が名乗ると通してくれ、受付へ行った。そこでも名乗ると、秘書課の女性が社長室へ俺を案内してくれた。
社長室に入ると、窓を背にし、大きな机の向こうに座る社長の姿があった。
「営業部の北野と申します。急にも拘わらず、お時間を頂戴してすみません」
「うむ、座りたまえ」
「ありがとうございます」
俺が柔らかいソファに座ると、社長も来て、俺の向かいにゆっくりと座った。その間、社長は鋭い目で探るように俺を見て、俺もまた、内心は怯みそうになりながらも、社長の顔を真直ぐに見た。
秘書課の女性がお茶を出してくれ、社長室を出た。社長も俺も、まだ一言も発していない。こういう場合、俺が口火を切るべきなのだろうか。たぶん、そうなんだろうな。
「不躾ですみません。中条冬美さんが社長の愛人という噂を耳にしたのですが、本当でしょうか?」
俺は内心、ドキドキしながら社長の返答を待った。



