俺は内線表を見て、社長室の内線をメモ帳に書き写すと、それを持って今は無人の小会議室へ行った。これからする通話を、人に聞かれないために。特に主任と上原に聞かれるのはまずいからだ。
小会議室の電話機から社長室へ電話すると、すぐに女性の声で応答があった。秘書課の人だと思う。
『社長室です』
「私は、営業部の北野と申します。折り入って、社長と面会したいのですが、いかがでしょうか?」
『どのようなご用件でしょうか?』
「詳しくは申し上げられませんが、中条冬美さんの件、とだけお伝えください」
『……承知しました。少しお待ちください』
電話の女性は、俺が主任の名前を告げた時、一瞬だが息を飲んでいたと思う。やはり主任と社長の関係については、秘書課にも知れ渡っているのだろう。あるいは、”公然の秘密”というやつかもしれない。
果たして社長は、俺との面会に応じるだろうか。ただの平社員の俺と。最も、1回で成功するとは思っていない。何度でも電話するまでだ。相手が音を上げるまで。
『お待たせしました。今から30分までなら面会が可能ですが、いかがしますか?』
マジか!?
「今すぐ伺います」
『承知しました』
まさか、1回で成功するとは思わなかった。30分もあれば、時間は十分だろう。
小会議室の電話機から社長室へ電話すると、すぐに女性の声で応答があった。秘書課の人だと思う。
『社長室です』
「私は、営業部の北野と申します。折り入って、社長と面会したいのですが、いかがでしょうか?」
『どのようなご用件でしょうか?』
「詳しくは申し上げられませんが、中条冬美さんの件、とだけお伝えください」
『……承知しました。少しお待ちください』
電話の女性は、俺が主任の名前を告げた時、一瞬だが息を飲んでいたと思う。やはり主任と社長の関係については、秘書課にも知れ渡っているのだろう。あるいは、”公然の秘密”というやつかもしれない。
果たして社長は、俺との面会に応じるだろうか。ただの平社員の俺と。最も、1回で成功するとは思っていない。何度でも電話するまでだ。相手が音を上げるまで。
『お待たせしました。今から30分までなら面会が可能ですが、いかがしますか?』
マジか!?
「今すぐ伺います」
『承知しました』
まさか、1回で成功するとは思わなかった。30分もあれば、時間は十分だろう。



