冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

「上原、それは本当なのか?」
「ほんとだよ。先輩は知らなかったんですか?」
「あ、ああ。全然」

俺は、誰かに頭を思いっきり殴られたような、そんな衝撃を受けた。

社長の事は顔ぐらいしか知らないが、たぶん歳は50代の半ばか、もしくは後半ぐらいで、日本人離れした顔をしており、いわゆるイケオジだ。

当然ながら金持ちだろうから、愛人の一人や二人、いてもおかしくはないと思うのだが……

「堂々と一緒に歩いてるの何人も見てるし、肩を抱いてたとか、ラブホに入って行ったとか、あの女のマンションは社長名義で、そこに社長を連れ込んでるとか、目撃情報はいっぱいあるんだから」

ラブホというのは眉唾だと思う。社長が安っぽいホテルを使うとは思えないから。噂にはかなり尾ひれが付いてる感じだが、マンションについては、ちょっとリアルだなと思った。

「課長は知ってますよね?」

上原は課長に同意を求めた。果たして課長は、何て言うのだろうか。悪いが、上原の話より、課長のそれの方が遥かに信ぴょう性があると思うんだ。

「噂の真偽は判りませんが、中条君を内の社にヘッドハンティングしたのは社長ですから、その可能性はあるかもしれません」

「えっ」

上原とハモってしまった。

「これで決まりよね?」

と上原は言い、俺もそう判断せざるを得ない、かなと思った。