冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~

俺達はよく行く会社近くの居酒屋へ行き、課長と俺は生ビールの中ジョッキー。上原はカシスウーロンで乾杯した。

ちなみに課長は40歳代半ばと思われ、たぶん妻帯者だ。曖昧なのは、昨今はやれ個人情報だ、セクハラだで、例え同僚とでも、プライベートな話題ははばかれるからだ。

上原由香里は、俺より4つぐらい下の後輩で独身だ。なぜ断言出来るかと言うと、普段から上原は『いい男いないかなあ』とか、『アタシ、北野先輩なら彼女になってもいいですよー』なんて言ってるからだ。

メニューを見て、俺は肉じゃがとブリ大根とお新香と冷やっこを注文した。俺は和食系が好きで、少しでも腹に溜る物を食いたかった。

課長と上原も思い思いの料理を注文し、まず口火を切ったのは上原だった。

「あの女、ちょームカつく」

上原が言った”あの女”とは、確認するまでもなく主任の事だ。上原は、主任が来てから増々言葉遣いが悪くなったと思う。

「何かあったのか?」

俺はすかさずそう言った。上原がそう言ってほしいんだろうと思ったからだ。

本当は、上原が主任の悪口を言うのは判り切っており、それを聞きたいとは思わない。むしろ、聞きたくない。

「そうなんですよー。課長も聞いてください」
「あ、はい」

「その前に、”あの女”なんて言い方はダメだぞ。主任とか中条さんとか呼ばないと、な?」
「はーい」