最近、笑ってる時間がすごく増えた気がする。

 

 ふとした言葉で、
 ふとした仕草で、
 顔がゆるんで、心がふわっと浮くみたいな、そんな瞬間。

 

 誰かがボケて、
 誰かがそれを真顔で拾って、
 誰かが私のことを見つめて笑ってくれる——

 

 そのたびに、
 私の心のどこかが、少しずつ、ほどけていく。

 

 

 「好き」って、
 なんでもない時間の中にあるのかもしれない。

 

 誰かの声が耳に残るとか、
 さっき言われたひとことが頭から離れないとか。
 そんなささいなことで、
 世界がちょっとだけ特別に見える。

 

 

 ……でもね。
 こんなに誰かを想うのって、
 ほんとは、すごく怖いことだったんだって、今さら気づいた。

 

 だって、
 “笑ってばかりいたこの数日”の中で、
 私は確かに、誰かのことを一番に見ていた気がするから。

 

 

 でも、それが“誰か”はまだ分からない。
 わかりたくない気もする。
 だって、わかっちゃったらもう、戻れないから。

 

 

 ねえ、これって——
 やっぱり、恋なんですか?