隣の席の室井くん①



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それから数週間。


翔が俺達の練習場に現れることはなく
俺達は、週に何度か倉庫に忍び込んでは練習をしていた。


発電機と持ち運びのきく小さなアンプを持ち込んで
さすがに音量全開にすると思いのほか音が反響しちまうしバレたらヤバいから、最小限に音量を絞ってコッソリと。


イッチーのドラムも控え目に。


そんなんでも、なんとか形になり始めた頃。



「決まったぜ!!俺らの初ライブ!!!!」


雄叫びを上げる俺に
ベースを手にしたやなぎんが、は?とでもいうように顔をしかめる。



「ライブって・・・ボーカル不在でどうすんだ?」

「まぁまぁまぁ」



その辺はノープロブレム!策は練ってある。


だからこそずっとコソコソとこの曲ばっか練習してきたんでしょーが!


「知り合いのライブハウスで今度ライブがあんだけどよ~、出るはずだったバンドが急にキャンセルになったらしくて~、んで頼み込んで空きのトコで一曲やらせてもらえることになったんだよ」


ニヤリと笑えば
やなぎんは、今度は心配そうな顔でぎこちなく笑う。



「お前の行動力にはホントにびっくりだ」



ため息混じりに呟いて
ベースを軽くびろんと鳴らす。

その音が、アンプから小さく倉庫に音を響かせる。


「作戦決行の時が来たぜ~!!ひょ~!!ワックワクすんな~!!」

「勘弁してくれよ?初ライブで醜態晒すわけにはいかないぞ?」

「まっかせなさ~い!!」




その日、最終作戦会議が
決行された。


ライブまで、あと数日。