「俺、日吉さん好きだよ」
「・・・・・・・・・」
「日吉さんが俺を好きになってくれて嬉しい」
「・・・・・・・・・」
「俺、日吉さんを・・・」
「わわわ、わかった!!わかったから!!!!これ以上は勘弁してくださーい!!」
アタシは両手で顔を押さえ、その場に座り込む。
いかん!!これ以上そんな言葉を囁かれ続けたら爆死してしまう!!顔中に集まった血液が爆破してしまう‼︎
「なんで?」
不思議そうにくすくす笑いながらもアタシを見下ろす室井くん。
・・・もう、なんでこうもストレートなんだろうかこの人は。
「うれ、嬉しいんだけど!!恥ずかしくて死にそうです・・・」
アタシのそんな訴えもストレートな彼には伝わらない。
「折角、日吉さんのこと好きって気付いたんだもん。言わなきゃ勿体ないじゃん」
黒髪眼鏡のキタローバージョンな一見地味なオタク男子みたいな彼が、まさかこんな台詞を吐くなんて
数ヶ月前のアタシ…いや、数日前のアタシ、夢にも思っていないだろうよ。
そんな室井くんを好きだと自覚してからも
イマイチ、ふわふわしたカンジの室井くんと
彼氏、彼女、っていうのがピンとこなかったワケだけれど
まさか、こんなに爆弾ボーイだとわ・・・
「・・・む、室井くん・・・今だけでいいから眼鏡外しちゃいなよ」
「えぇ?なんで?」
「・・・いや、いいから」
「やだよ、何にも見えなくなっちゃうよ」
「・・・だからだよ」
きっと、夕日のせいに出来ない位に今のアタシは真っ赤にちがいない。
夏の真っ赤な太陽もびっくりな程に酷い顔をしているに違いない。
いっそ、眼鏡を取り上げてしまえばこんな顔を見られずに済むんじゃ・・・なんて、
そんなアタシを正面から見つめながらふんわりと笑った彼は
「やっぱり外そうかな」
と、甘いトーンで呟いた。
目の前の室井くんが
まるでスローモーションのような、ゆっくりとした動きでアタシに近づき座り込むアタシの手を引く。
引かれるがままにアタシの体は立たされ
気付いた時には、あっという間に目の前にあった彼の顔には眼鏡はなく、少し前屈みになった室井くんが耳元で、甘い声を出す。
「眼鏡あったら、邪魔」
視界に彼の右手の黒ブチ眼鏡が映ったかと思った瞬間ーーー
ーーーちゅ
唇に、柔らかい感触がした
