スタジオ内は決して広いとは形容しがたいような窓も何もない小さな部屋で、勿論、防音装備がされてるんだろうから当然なんだろうけども。
なんとも言えない閉鎖感の漂う空間だった。
「日吉さん、昨日は驚かしちまってゴメンな」
椅子に座っていた髭面で恐面のパーマのお兄さんが、その顔をニコリとさせながら申し訳なさそうにアタシに言う。
「いやいやいや!そんな!こここ、こちらこそお見苦しい場面を!!」
…そういや、アタシこの人たちの前で告白劇を展開しちゃってたんだよな。
抱き合ってる所までしっかり見られてるし。
よくよく考えたら・・・ってか、よくよく考えなくてもかなーり恥ずかしくないか?
昨日の破廉恥場面を思い返しアワアワするアタシを見て、その人は目尻に皺を寄せながら人の良さそうな雰囲気を醸し出す。
そんな彼は、SnakeFootのベーシスト
柳 健太郎。
通称やなぎん。
北校の三年生でアタシたちよりも一個上だと昨日言っていた。
そして部屋の奥、ドラムの前で一見怒っているようにしか見えないインテリ風味な眼鏡で無口な彼。
ドラマー 市原孝徳。
通称イッチー。
やなぎんとは違う高校らしいが同じく一個上。
切れ長の一重の瞳が鋭くこちらに視線を向けたかと思えば、ぺこり、と、これまた無表情で頭を下げられる。
慌ててアタシも頭を下げた。
「ちなみに、俺らは一応年上だけど気は使わないでくれな。敬語とかもナシで」
人の良さそうな笑みを浮かべそう言ってくれたやなぎんは見掛けに寄らずジェントルマンであった。
怖いだなんて思ってごめんなさい。
「やなぎんもイッチーも恐そうだけどイイ奴だから安心してよ~」
相沢くんが呑気に踏ん反り返りながらそう言えば
「その呼び方ヤメロって。お前とショウぐらいだろ、そう呼ぶの」
と、少し困ったように眉を下げ笑う。
大人だ・・・恐面の割になんて大人なんだ・・・
そんなやなぎんを気に留めることもなくお気楽ボーイは金髪をキラキラとさせながらギャハハと笑う。
・・・あぁ。きっとこの金髪の面倒を見るのは、ジェントルマンな彼の役目に違いない。
なんだか濃いメンバーの中、唯一まともに見える。
それと同時に彼の苦労が既に目に見えた気がした。
