隣の席の室井くん①



薄暗いエレベーターは、カタカタと不安定な音を立ててゆっくりと上がっていく。



「なんかホラー映画に使われそうなエレベーターね」

「さ、さっちゃん!!やめてくれるかな!?」



不吉なことをぼやくさっちゃんと、それに怯えるチキンなアタシを乗せたエレベーターは3Fで¨チン¨という安っぽい音と共に止まった。


ゆっくりと扉が開くと



「うおぅ!!」

「わぁぁ!!」



開いたばかりの扉の向こうから、驚いた相沢くんの顔が見えた。



「びびび、びっくりした!!」

「おーう、丁度よかった!!今下まで迎えに行こうと思ってたんだよ~」



人懐っこく笑顔を浮かべ、相沢くんは「コッチコッチ」と、薄暗い廊下を進んでいく。



「相沢、アンタ校外でも相変わらず煩いのね」

「いや~それほどでも」



さっちゃんと相沢くんのそんな会話を聞きながら、重そうな扉の前に辿り着く。



「お~い!お客様が到着しましたよ~!!」



相沢くんが、その扉を片手で開ける。
重そうな扉の向こうには、沢山の楽器と何やらよくわからない配線の数々。


そして、

椅子に座って漫画を読んでいる髭パーマさんに

ドラムの前でスティックを持つインテリ眼鏡さん



「あ、日吉さん」



と、ニッコリと笑いながらギターを弄る室井くん。



「私もいるわよ」



アタシの後ろから、さっちゃんが顔を出し、



「へ~、スタジオってこんなんなんだ」



と呟きながら躊躇うことなく部屋に入っていく。



・・・頼もしいゼ。



「あはは、松坂さんもいらっしゃい」



呑気だな、室井くん。


室井くんはいつもと変わらぬ様子で、相変わらず眼鏡にキタローヘアーバージョンだ。

いつの間に着替えたのかTシャツにジーンズ姿の室井くんは、制服姿より一層細く見える。

手元のギターは、昨日相沢くんが弾いていたピンクのド派手なギター。

室井くんと、ピンクのギター。
・・なんたるミスマッチ。



「まぁまぁ、日吉チャンもそんなトコ突っ立ってないで中入んなよ」



相沢くんに促され、アタシもその防音の部屋へと侵入した。