隣の席の室井くん①



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「いいよ?」


お弁当を終え、教室に戻ると室井くんは予想に反してニコニコ笑顔で快諾。



「え!!?いいの!!?」



驚きつつ、室井くんの横でパンをくわえている相沢くんに視線を送ると



「翔がいーんなら、俺らはぜんっせん問題ねぇよ~?」



と、呑気にモゴモゴしている。



「日吉さんの友達なら、大丈夫でしょ?」



と、室井くんはニコリと首を傾げた。

きゅーーーーーん!!!!



「室井、アンタ話がわかるじゃない!!」



ニヤリと笑ったさっちゃんがバシバシと室井くんの肩を叩くと



「ごほっ」



と、室井くんがヨロリとよろめいた。


あぁ・・・!さっちゃん!!
室井くんがむせています!!
例によって例の如くヘロヘロしています!!


それを見たさっちゃんは



「あぁ、悪いわね。・・・っていうか、アンタそんな軟弱キャラで本当に勤まってんの?」



と、失礼極まりない発言を落とすもんだから
見てるアタシはハラハラだ。


そんなさっちゃんの発言にも



「あはは」



と、呑気に笑う室井くんは本当にマイペース・・・というか、なんというか



「ギャハハハハ!!翔は全国モヤシっ子協会の代表だもんな~!!!!!」



おいこら金髪。お前も何笑ってんだ。
なんだよ。全国モヤシっ子協会っちゃ。

じっとりとした目で睨むも、気にしたそぶりもなく彼ははクリームパンを頬張る。

あ。クリームはみ出てるし。

汚な。



「俺達、ちょっと早めに行くから日吉さんたちはゆっくりおいでよ」



室井くんのほんわかした雰囲気に心底癒されるわ。



「駅前のスタジオでしょ?アタシ地元だから任せて」



こうして、放課後Snake Footツアーにさっちゃんも参戦することが決まった。


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ーー更に放課後。



チャイムと同時に相沢くんに引きずられるようにして消えた室井くん。

彼等から少し遅れながらも、アタシとさっちゃんは隣町の駅前にいた。



「はぁ~、アタシ、初めて降りたかもこの駅」

「純の家、逆方向だもんね」



地元なだけあって、さっちゃんは慣れた様子で駅前をスタスタ進んでいく。

アタシも追いていかれないように後を追いながらキョロキョロと町を眺めていた。


5分ほど歩くと



「ここよ」



と、さっちゃんが古びた建物の前で足を止める。



見上げればそれは、寂れた感じの古いビル。
いくつかのテナントが入っているみたいだケド、それを示す看板には、空白も目立つ。


3Fに、¨スタジオ KING ¨と言う文字が刻まれている。



「さ、行くわよ」



ライヴハウスに入る時に、あんなに一人ドキドキしてたアタシとは違いさっさと中に入っていくさっちゃん。



「あぁ!待って!!」



慌てて後を追うも、エレベーターの前で
ギターを持った顔面ピアスだらけのお兄さんとすれ違いかなりビビるアタシ。

そんな中やはりさっちゃんは平然と進んで行くさっちゃん。


・・・なんて頼もしいんだろうか。