「歌のうまさ半端ね~だろ!!」
「超レベルたけぇよな!」
「いやもう、プロのレベルだろ!!そんであの顔面レベル、エグくね?やっべぇよアレは!イケメンとかのレベルじゃなくね?」
羽鳥くんたちは口々にそう色めき立った。
おぉ、すごい。賞賛の嵐だよ室井くん。
当の本人は、聞こえているのかいないのか
「は~暑いね~」
なんて言いながら、アタシにニッコリ笑いかけている。
「お~、んじゃ本人にそう伝えとくわ」
相沢くんも、白々しくそう言いながらニヤニヤと笑い、チラリとアタシと室井くんに視線をやる。
「なぁ相沢、あのボーカルってどこの誰よ?」
「あん?」
「俺らとタメくらいだろ?どこの高校よ?」
「さぁね~」
「なんだよ〜いい加減教えてくれたっていいだろ〜!?あんだけ綺麗な顔してて、あんだけ実力あったらもっと騒がれていいはずなのに、なんで誰もその素性知らねぇんだよ〜!!」
「謎ですね~」
相沢くんのニヤニヤ顔に拍車がかかっているのが、アタシにも分かる。
・・・羽鳥くん。今、貴方の目の前にいますよ。
窓際で外を眺めながら「あ、飛行機雲」とか言っちゃってるキタローヘアーの彼が、その¨超やべぇ¨ボーカルさんなんですよ。
ニヤニヤしながら今にも、矛先をこちらに向けてきそうな相沢くんにハラハラしていると、飛行機雲から視線を戻した室井くんと目が合う。
すると、彼はニコリと少し困ったような顔をして
¨しー¨と、人差し指を口に当て頭をコテン、と傾げた。
か、かわいい!!!!
鼻血を噴出しそうになるのを耐えながら指で鼻を摘むアタシを、不思議そうに室井くんが見ていた。
