「な、なんで!!?む、む、室井くん!!!!?あれ!!?さっきまでショウくんだったのに、え!!?一瞬にして室井くん!!?」
大パニックを起こして混乱するアタシを
ヒャーッッ!!ヒャヒャヒャヒャヒャ!!ヒャーッッ!!
と相沢くんが目に涙を浮かべて指差しながら例の引き笑いを響かせた。
今にも窒息しそうな勢いのその笑い声に思わず振り返ると、同じように目に涙を浮かべて笑う髭パーマさんと、無表情でドラムスティックを弄ぶインテリ眼鏡さん。
「ヒーヒー!!さすが日吉チャン!!ナイスリアクション!!どう!?ビックリした?ビックリしたっしょ!?」
相沢くんが涙を拭いながらアタシの肩を叩く。
「え!!?えぇ!!?」
開いた口が塞がらないとはこのことだ。
もはやビックリしたどころのレベルじゃない。
アタシは、口を開けた間抜けヅラのまま
「む、室井くん・・・が・・・ショウくん?」
と、すっかりキタローな彼に問う。
ズレていた眼鏡を指であげながら
ちょっと困ったような、照れたような顔で
「・・あれ・・・見られちゃった」
と、頭を傾げて笑った。
う・・・うそだぁ・・・
絶対うそだ・・・どんなドッキリなんだこれは・・・
さっきステージで照明の下で、観客の歓声を浴びて声を張り上げていたのが
室井くん・・・?
教室の片隅で、長い髪で顔を覆い隠しながら
静かに本を読んでいる室井くん・・・?
……そんなバカな!!
「ど・・・同一人物?」
思わずまじまじと、室井くんの顔を見つめる。
「なんで、ここに日吉さんがいるの?」
コテンと頭を傾げる彼は紛れもなくあの室井くんだけれども。
さっきまでしっかりセットされていた髪の毛にはまだその名残があり、いつもよりも顔がよく見える。
「俺がね~日吉チャンを誘ったんだよ~ん」
相沢くんが、ニヤニヤしながらアタシの肩を抱き、反対の手でピースを作る。
室井くんの前で馴れ馴れしく触んなよ・・・
誤解されたらどうしてくれる!
アタシがその手を払うより先に
ーーーグィッ!
「のわあぁぁ!」
座ったままの室井くんがアタシの手を引っ張り、
そのまま自分の方へ引き寄せた。
引っ張られた勢いでアタシは室井くんに倒れ込み
そのまま抱きしめられるような体制になる。
「あわわわ!む、室井くん!!」
慌てて、至近距離にある彼を見上げると
白く綺麗な輪郭を象った彼の顔は、むっとしかめ面で
「触っちゃダメって言ったじゃん」
と、相沢くんを睨んでいた。
